仕事においても人生においても、自分が指揮官であり、お金と時間をコントロールできている。何より、お金そのものではなく、仕事を追いかけている。それが1桁上の額を稼ぐ人たちの特徴。彼らのところに、お金が集まるのは、自然の理法があるからという。安岡正篤、松下幸之助、稲盛和夫らにも共通する法則を、8つの項目に集約した。いずれもが、ビジネスパーソンが今日から胸に留め、実践できる考え方と習慣だ。
稼ぐ人は、お金やものに執着しません。それどころかいまの仕事や地位にも固執しない傾向があります。安定して収入を得られるポジションにいても、あっさり捨てて転職や独立をしたり、まったく違う分野に挑戦します。現状が頭打ちだから新天地を求めるというわけでもありません。たとえ将来が約束されても、そんなことに関心がないかのように環境を変えていきます。
いま持っているものを失うことに、なぜ抵抗がないのか。それは根底のところで自分というものを信じているからでしょう。成功する人は、どのような環境になっても、まわりの人とうまくやれるし、食べていけるという自信を持っている。だから慎重には考えますが、財産や収入を一時的に失うことを恐れないのです。
稼ぐ人は、成功するための原理原則を知っているといってもいい。成功するためには土台になる考え方、つまり原理原則とそれを具体化する技術の両方が必要ですが、原理原則さえ本物であれば、じつは何をやっても成功します。
企業も同じです。成長し続ける企業は、市場の変化に応じて新しい商品やサービスを出していきます。そうした企業は、高い開発力に成長の秘密があると考えられがちです。しかし、ほんとうに大事なのは理念やミッションです。企業活動のベースとなる考え方がしっかりしているからこそ、現象に合わせて対応を柔軟に変えていけるのです。
難しいのは、原理原則をどうやって身につけるかです。人間は自らの経験からいろいろなことを学びます。たとえば度胸や勇気は、実体験から学ぶところが非常に大きい。しかし、限られた経験の中から原理原則まで学びきることは困難です。経験に加えて、人との出会いや、昔から読み継がれている書物を通して吸収していくほうがいいと思います。
松下幸之助さんや稲盛和夫さんの本を読んでいると、書かれているのは人間観や哲学の話であり、商売の話はほとんど触れられていません。それでも多くの人が手に取るのは、そこに原理原則があるからです。