仕事においても人生においても、自分が指揮官であり、お金と時間をコントロールできている。何より、お金そのものではなく、仕事を追いかけている。それが1桁上の額を稼ぐ人たちの特徴。彼らのところに、お金が集まるのは、自然の理法があるからという。安岡正篤、松下幸之助、稲盛和夫らにも共通する法則を、8つの項目に集約した。いずれもが、ビジネスパーソンが今日から胸に留め、実践できる考え方と習慣だ。
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常に未来志向である

成功する人と話していると、「不満」を抱いていても、「不安」を持っていないことに気づきます。稼ぐ人は、世の中をよくしよう、自分を変えていこうという意識を持っているので、現状において至らない点がどうしても気になり、不満が多くなる。しかし、「失敗したらどうなるのか」という不安とは無縁です。未来はいまより必ずよくなるということを、信じているからです。

松下幸之助さんは、「自然の理法に従えば人生や仕事はおのずとうまくいく」と言っています。自然の理法とは何か。幸之助さんはそれを「生成発展」という言葉で表現しました。

生成発展は、西洋哲学でいう弁証法に近い考え方といってもいいでしょう。ある考え方(テーゼ)と、それに対立する正反対の考え方(アンチテーゼ)があるとします。180度違う2つの考え方があったら、普通はテーゼとアンチテーゼが反発し合ってもの別れに終わったり、破壊が起きて物事が悪い方向に進むと思うでしょう。ところが、弁証法ではアウフヘーベン(止揚)といって、2つの概念がぶつかり合って高め合い、新しいもの(テーゼ)が生まれてくると考えます。

生成発展も同じです。物事はいろいろと変化するけれど、その中から必ず発展したものが生まれて、世の中はよくなっていく。ちなみに東洋思想家の安岡正篤先生も、同じ考え方を「生成化育」と表現しています。

成功する人たちは、生成発展や生成化育によって世の中がよい方向に向かっていることを心のどこかで知っています。

だから未来に対して常に前向きでいられる。稼ぐ人は収入や地位を失うことを恐れないと言いましたが、そう思えるのは、将来は必ずよくなる、自分でよくするという確信があることも大きいのでしょう。

世の中の発展に寄与することが自分を最高に生かす道だと気づいていることも、成功する人の特徴の1つです。生成発展によって世の中は自然によくなっていきますが、成功する人はそれに貢献できる仕事や働き方を模索して自分も変化と発展を続けようとします。そうした人を世の中が放っておくはずがない。社会に役立とうとしている人にお金が集まってくるのも、自然の理法の1つといえるかもしれません。

調査概要/gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「仕事とお金」に関するアンケートを2012年2月1~5日の期間で実施。個人年収1500万円以上で349サンプル、年収500万円で350サンプルの有効回答を得た。
(構成=村上 敬)
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