お金は、体験を買うためにあることを知っているか?

人間の強さは、体験の質と量で決まるといっても過言ではありません。目の前に困難が立ちはだかったとき、逃げないで立ち向かうことができるか、問題の解決策を自分で見出すことができるかは、これまでの人生でどれだけの体験を積んできたかに比例します。

体験を積めば積むほど、困難を乗り越える力は強くなります。体験というのは、学びにつながる仕入れです。仕入れの数が多ければ多いほど、ひとつの見方だけでなく、いろんな視点から物事を見ることができます。考える力や問題解決能力が高くなるのは当然のことでしょう。

一方で、仕入れの絶対数が少ない人は、物の見方がかたよりがちです。答えや解決策を少ししか見つけることができないので、いつも不安を抱えているだけでなく、困難にぶつかるとたちまち思考停止します。あるいは困難にぶつからないように、はじめから公務員などの安定したポジションを求める人もいます。安定への依存から、自ら考えることも行動することも放棄してしまえば、生きる力はますます弱まっていきます。

体験をいかに積んでいくかは、幼児期からの親の教育にも大きく影響される部分でしょう。たとえば、幼い頃から諸外国に触れる機会があったとします。貧しい国で貧しい子どもたちを見たときに、単に「食料がなくてかわいそうだ」と思うのか、「マフィアに売られた子どもたちだ」という視点で、社会の裏側まで捉えられるのか。さらに、日本にも子どもを売る時代があったことを知っていれば、また違った見方にもなるはずです。体験を通じた多様な視点は、自立した人間を育てるための肥やしにもなります。

「稼ぐ人」に話を戻すと、稼ぐ人たちのなかには、意識的に体験を積み重ねようとする人が多いように感じます。レストランやホテルでは、ワンランク上のサービスを受けてみる。逆に貧しい国で現地の人と同じ食べ物を食べてみる。自分のためになる体験は、お金で買うことも必要であることを知っているのです。

いろんな世界を見れば、自分の悩みなどちっぽけなものであることが実感できます。そうやって培った問題解決能力と人間的な魅力が、「稼ぐ人」の強さの理由であり、源泉なのです。

(構成=前田はるみ)
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