自分の強みでなく、相手の評価軸を知っているか?

「稼げない人」に共通する特徴に、「与えてもらって当然」という意識があるように思います。他人の教えに素直に耳を傾けることが大事とはいえ、いきなり「教えてください」「お願いします」と自分の都合だけを主張しても、「なぜ、あなたのために時間を割かなければならないのか」と相手は不快に思うでしょう。

あるいは、「私はこれをしてあげたけど、あなたは何を返してくれるのか」といったように、1対1の損得で考えるのも「稼げない人」に見られる傾向です。目先の得をとろうとしては、相手との関係を深めることも、互いを高め合う上昇のスパイラルに乗ることもできません。

その一方で、相手が求めるものを与え続けることができるのが、「稼ぐ人」の特徴です。時間とお金をかけて、相手の要望を汲んだ行動をすることで、いざというときに力になってくれるような本物の人脈へと育てていくのです。

そのためには、相手が何を求めているのかの評価軸を知る必要があります。相手が欲していることだけでなく、相手のスケジュールも把握しておけば、タイミングよく力を貸すことができます。このように相手が求めるものを与え続けていれば、いざ自分が相手に力を貸してほしいとき、相手は断れなくなります。

こう書くと打算的だと思われるかもしれませんが、「稼ぐ人」が相手軸に合わせたふるまいができるのは、相手に対する尊敬の念があるからです。自分1人では大事業を成し遂げることはできない。いまの自分があるのは、周りの人たちの協力があってこそ。それを知っているから、つねに感謝の気持ちをもって相手に接することができるのです。

カリスマ美容師と呼ばれる人たちは自分たちがカリスマであるわけではなく、カリスマと呼ばれる人たちを顧客に抱えているから、カリスマ美容師なのです。自分の格を上げるには、自分のことを自分で宣伝しても効果がありません。

一流の人とつき合うなかで互いが互いを評価し、高め合う関係があってこそ、自分もまた一流への階段を上っていくことができるのです。

(構成=前田はるみ 撮影=若杉憲司)
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