「アスリートの瞬間芸みたいな感じで描くんです」横尾忠則が成田悠輔に明かした“たった1つ”の創作の極意とは?【初対談】(横尾 忠則,成田 悠輔/文藝春秋 電子版オリジナル)

経済学者・成田悠輔さんがゲストと「聞かれちゃいけない話」をする連載第4回。ゲストは、画家の横尾忠則さんです。

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ひたすら考え抜かないで描く

 成田 横尾さんの中で、価値の高い作品と低い作品というのはあるんでしょうか? 

 横尾 描いている時は、「これは昨日描いた作品よりいいぞ」なんて思って描いているんです。ところが、またあくる日に描くと、「昨日の作品より今描いている作品のほうがいいぞ」と思う。描いている瞬間の作品が自分にとっては最高の作品だと思うんです。ただ、一晩寝て次の作品を描き始めると、「なんだ、昨日のは大したことないじゃないか」ということになっちゃう。

横尾忠則さん(右)と成田悠輔さん。対談は横尾さんのアトリエで行われた ©文藝春秋

 成田 描いている瞬間に価値が宿っては散るということになりますね。

 横尾 瞬間と、そのプロセスが一番大事ですね。大事というか、そこが楽しいんですよね。楽しくて、ある種の快感もあるわけです。

 成田 しかも描くプロセスは、画廊・ギャラリーとか投資家が値札をつけようがないものですね。

 横尾 そうですね。描いている時はね。一筆入れるとこれ1万円、これが2万円、ということはないですからね。

 成田 パフォーマンスというかライブペインティング的なことをされることもありますか?

 横尾 あります。

 成田 そこでは描くプロセス自体が1つの商品というか興行というか、1つのエンターテインメントにもなるわけですよね。