<自動運転車の事業化を巡って激しい競争を繰り広げてきたテスラとウーバー。証券アナリストも注目する競争の行方は?――:ヒュー・キャメロン>
ロンドンにあるテスラのショールーム
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イーロン・マスクが間もなく開始するテスラ(Tesla)の「ロボタクシー」サービスは、ウーバー(Uber)にとって脅威となる可能性がある。両社は自動運転車を事業に取り入れようとしており、この革新的な新市場のシェアを巡って競い合っている。

ブルームバーグは関係者からの情報を基に、テスラのロボタクシーは6月12日にサービス開始予定だと報じている。これを受けてウェドブッシュ証券のアナリストも先月末「テスラのロボタクシーは、ウーバーのビジネスモデルにとって長期的な脅威になりうると見ている」と述べた。

自動運転技術の試験と実装を巡って競争を続けるテスラとウーバー。この技術は両社にとって、長期的な成長戦略および投資家への価値提案の中核をなしている。

ウーバーはこの技術をライドシェアや配達サービスに取り入れることを目指しており、テスラは完全自動運転のロボタクシーネットワークに加えて、顧客が利用できる自動運転車の提供も計画している。

ロボタクシーの開始に向けて、テスラはテキサス州オースティンで「Model Y」の自動運転試験を行っていると、ブルームバーグが報じた。マスク氏も5月28日、自身のXで自動運転の試験を行っていることを認めている。

「ここ数日間、テスラは自動運転のModel Y(運転席は無人)をオースティンの公道で試験しているが、事故は一切発生していない」「予定より1カ月早い。来月には、工場から顧客への“セルフデリバリー”が初めて行われる予定だ。」

一方ウーバーは、グーグルの親会社アルファベット傘下の自動運転車部門ウェイモ(Waymo)との提携を通じて、自動運転ライドの提供を開始。ウーバーはこの取り組みを、今年3月にオースティンの37マイル(約60キロ)にわたる地域で開始し、近いうちにアトランタへの拡大も計画している。

しかし、両社の自動運転試験には安全性への懸念や規制上の障壁があり、専門家は、完全自動運転(FSD)車両の安全性と実用性に疑問が残る現状では、全米規模での展開は時期尚早だと語っている。

「無線データ接続と遠隔操作による状況認識には重大な安全上の課題がある」と語るのは、カーネギーメロン大学電気・コンピューター工学部のフィル・クープマン(Phil Koopman)教授だ。