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バブル崩壊20年でサラリーマンの小遣いは2分の1に!

それでは単なる「奥さんのご機嫌取り」ではないか、という指摘を受けそうだが、まさにその通りである。私にとって妻のご機嫌ほど重要なものはない。彼女がご機嫌であれば、世界が明るく輝くわけで、そのリターンは計り知れないのだ。そういえば『徒然草』にもこんな一節がある。

「世に従はん人は、先づ、機嫌を知るべし」
(『徒然草』第155段 岩波文庫 1928年)

生きるうえで、何より大切なのは機嫌を知ること。機嫌とは元来、物事のタイミングのことで、タイミングを間違えるとどんなに徳のある行為も仇となってしまう。機嫌を取るとはタイミングを読み取るということで、買うだけではなく渡すタイミングまで注意しなければならない。そこまでやる必要はないじゃないかと思われるかもしれないが、必要以上の労力を費やさないと「贅沢」な人生は送れないのである。

ついでに言わせていただくと、ピアス(あるいはイヤリング)には身を守るという効用もある。耳は身体の中でも重要な開口部位。世界中の国々で、耳から精霊が入り、耳に魂が保管されていると古来信じられている。それゆえピアスとは一種のお守り。赤ん坊のうちからピアスの穴をあける民族もいれば、埋葬する際に必ずピアスをつける民族もいる。しっかり守らないと悪霊が入ってくるのである。確かに人間を惑わすのは言葉で、言葉は耳から入る。私などはしょっちゅう失言を繰り返しているので、ピアスをつけてもらえばその害も防げるのだ。

3万円でピアスを買おう。

世の夫たちにもおすすめしたい。ちなみに妻が望んでいるのはマディラ・シトリンという石が組み込まれたもので、これは金運を招くらしい。となると投資効果も期待できるが、期待すると必要なものになりかねないので、あくまで愛の証しとして贈ろう。

ノンフィクション作家 
高橋秀実 
1961年、横浜市生まれ。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞を受賞。最新版は『結論はまた来週』。
(撮影=佐藤 類)
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