捨てることがきっかけで60歳からユーチューバーに

「60代以降の人生」と聞いて、みなさんはどんなイメージを抱くでしょうか。今から6年ほど前、50代後半だった私は、未来への絶望感に苛さいなまれていました。2人の子供が就職・結婚で巣立ったことによる寂しさ、加齢による容姿の衰えによって、これから先のシニアライフを憂鬱ゆううつに感じていました。暗い心の中を反映するかのように、部屋の中は家族のモノであふれてカオスな状態になっていました。

そんな気持ちの中、ある日たまたま暮らし系のYouTube動画を目にしました。その方のすっきりした暮らしぶりを見ているうちに、自分もこういう暮らしがしたかったんだという思いがわいてきて、一念発起して片づけを始めました。

まず手放したのは、自分と子供たちの服。服を1枚捨てるたび、これまで服がぎゅうぎゅうに詰まっていたクローゼットや洋服ダンスに次々と空間が生まれていきました。視覚的なストレスが減るからなのか、モノへの執着心がなくなるからなのか、気持ちがどんどん晴れやかになり心も体も軽くなっていく爽快感を、今でもはっきりと覚えています。

さらに、娘の勧めで『60歳からの幸せライフ』というYouTubeチャンネルを始めました。素敵なシニアライフを目指して、大型家具を捨てたり、バブル時代の服を捨てプチプラ服に移行するプロセスを紹介しているチャンネルです。動画制作の経験はありませんでしたが、もともと何かをコツコツ勉強することが好きな私は、その作業にのめり込みました。

素敵なシンプルライフを実現していく過程で、モノだけでなく過去のしがらみや見栄、こだわりも捨てることができました。それらを捨てたことで手に入れた「頑張らないラクな暮らし」は心地よく、かつては年をとることが怖かった私ですが、今はワクワクした気持ちで60代を生きることができています。

私は現在65歳ですが、私たちの親の世代にとって、モノが多いことが幸せに直結していました。しかし、今は「モノが少ないほうが幸せ」な時代だと思います。そのような考えのもとに配信している私のチャンネルは、多くの視聴者から共感をいただき、その反響がやりがいとなって、いつしか動画制作が一番の生きがいになりました。

不思議なもので、「やりたいこと」ができると、捨てたいモノ、手放すべきモノがはっきりとしてきます。

先日もタンスに眠っていた着物を専門の業者さんに引き取ってもらいました。また、お雛ひな様の大型のセットも手放したところです。大物がなくなるとなぜでしょうか、達成感とすっきり感、満足感に満たされます。

夫とケンカしたとき勢いに任せて、寝室に置いていた机や椅子をクローゼットの中にしまい、寝室にまったくモノがない状態にしたことがありました。何もない部屋に布団を敷いて寝ると、以前よりぐっすり眠れるようになりました。モノは、そこにあるだけで脳に何らかのメッセージを発しています。だからモノが多い部屋は疲れるのです。

部屋にモノがないと掃除がラクになるのも嬉しい。また、床に何もないとお掃除ロボットに任せられるので、掃除の手間が大幅に省けました。