モノを手放すことは「目的」ではなく「手段」
ミニマリストとは何か。言葉自体は一般的に広く知られるようになりましたが、単に持ち物が少ない人という印象を持つ人が多いのではないでしょうか。
ミニマリストの本質は、持ち物の多寡ではありません。私は、持ち物を削ぎ落とす中で、自身の幸せや、社会のありようを考えながら生きる人だと受け止めています。他人の評価を気にしたり、モノの数を競ったりするのではなく、必要なモノだけを所有する。仮に1万個のモノを持っていたとしても、すべてに必要性を感じていれば、その人はミニマリストです。
ミニマリズムには、正解やルールはありませんが、モノを減らすことは「目的」ではなく、あくまでも自分にとって大切なモノを知る「手段」です。その点を踏まえ、あえて定義づけるとミニマリストの条件は、次の2つです。
1つ目が、他人の目を気にした“欲しいモノ”ではなく、自分にとって本当に“必要なモノ”がわかっている人。
2つ目が、自分にとって大切なモノがわかっていて、それ以外のモノを減らす人。
私が、ミニマリストという言葉を知ったのは、2013年のことです。ネットで調べると、たった15個だけのモノを持って世界中を旅する、アンドリュー・ハイドという人物がヒットしました。当時34歳だった私は、衝撃を受けました。そして、なぜか、こう思い込みました。自分自身もミニマリストにならなければ、と。
振り返ると、社会がミニマリズムを必要とする時代背景と、私個人の人生の行き詰まりが、偶然一致したタイミングだったのです。
ミニマリストが、10年代に登場したのは必然でした。この時期にはミニマリズム以外にも、ノマドワークや、小屋暮らしなどの生き方も注目を集めていました。ミニマリストをふくめた新しい生き方が広まり、定着した背景には、3つの社会状況があります。
まずモノが増えすぎたこと。次に、インターネットとモバイル機器の発達によってモノを持たずに済むようになったこと。最後が東日本大震災です。
私が学生だった90年代半ばまではバブル経済で、右肩上がりの大量消費社会でした。バブルが弾けても依然として日本は消費大国であり続けました。しかし2008年のリーマンショックを境に多くの人が日本経済に限界を感じ、疑問を抱きはじめた。
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