日本人の「夫婦関係」は世界標準で見るとかなり風変わりであることを示唆する調査結果がある。統計データ分析家の本川裕さんは「日本人にとって夫婦関係を維持する上で『誠実さ』が一番大事だとは考えていない。この結果は世界の中でもレアなケースだ。また、『恋愛や性生活』に関しても世界最低の満足度だ」という――。

※本稿は、本川裕『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』(星海社)の一部を再編集したものです。

ベンチで座る高齢者夫婦
写真=iStock.com/Tinica
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日本人夫婦ほど大切なことを相談しあう国民はない

国際意識調査をいろいろ調べていると、日本の夫婦については、他国の夫婦よりも相互に良好な関係を維持しているという意外とも思える結果に行き当たる。当節では、この点についての真相を探ってみよう。

まず、文部科学省所管の統計数理研究所によって行われたアジア・太平洋の11地域を対象とする価値観調査によって、各国の国民が、悩みごとをまず第一に相談する相手として、夫婦、親、友人などのいずれを挙げているかを見てみよう(図表1)。

日本人の回答の最大の特徴は、「夫婦」と回答した者が53.2%と多く、唯一、半数を越え、最多になっている点である。

この特徴はたまたまの結果ではない。5年前にも同じ対象地域で同じ設問の調査が行われたが、「夫婦」という回答は、日本の場合、60.4%と2番目に高い台湾の47.3%を大きく引き離していたのである。

日本の回答では、「友人・知人」は13.7%で2番目の高さとなっており、他国と比較してもそう低いわけではない。むしろ、親・きょうだいに相談する割合が低い。11地域の中で「父親」は最下位、「母親」、「きょうだい」は下から2番目の割合になっているのである。日本以外では、韓国では「友人・知人」の割合が非常に高い点、また米国では「夫婦」の割合が29.8%と、11地域中、最下位である一方で「母親」が18.0%とベトナムに次いで高い点などが目立っている。米国の回答については、後段でもう一度ふれるので覚えておいて欲しい。