日本で人気が出る車の特徴は何か。モータージャーナリストの鈴木ケンイチさんは「1969年から2001年までの33年間にわたって年間販売台数ナンバー1を守り続けた車がある。この車が『安かった』から売れたというのは間違いだ」という――。

※本稿は、鈴木ケンイチ『自動車ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

太陽に照らされた駐車場の車
写真=iStock.com/Apriori1
※写真はイメージです

33年間にわたり年間販売台数ナンバー1の車

日本でクルマが本格的に普及し始めたのは1960年代でした。この自動車普及はモータリゼーションと呼ばれています。その中で主役を演じていたのがトヨタの「カローラ」です。

現代に置き代えるならば、「スマートフォンの普及で主役となったのがアイフォン」でしょう。そのアイフォンと同じ存在が「カローラ」だったのです。

その「カローラ」はどれだけヒットしたのでしょうか?

販売記録でいえば、初代の1969年(昭和44年)から2001年(平成13年)までの33年間にわたって「カローラ」は登録車として年間販売台数ナンバー1を守り続けました。

こんな記録は、日本車で他にありません。また、日本全国には「カローラ」を売るための「カローラ千葉」のように「カローラ」+「地名」という会社が存在しています。会社名として車名を使うほど「カローラ」が売れているということです。

もちろん「カローラ」は日本だけでなく、世界中で売れに売れまくっています。

2021年にはシリーズ累計生産台数が5000万台を突破。日本だけでなく、世界150の国と地域で売れ続けています。トヨタが創業から2021年までの約84年で販売したすべてのクルマは累計2億6000万台でしたから、その5台に1台が「カローラ」だったのです。