廃れた穀物や代替穀物でつくられた「パン」

リボッリータの話に戻る。食材は、パン、オリーブオイル、豆、そしてトスカーナの野菜である。この料理で最も重要な要素はパンである。小麦粉ではなく、廃れた穀物や代替穀物を使ってつくられる。さらに特徴的なのは、普通、パンには必ず入る塩が、トスカーナのパンにはない。その理由は、「東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の塩税に抵抗したフィレンツェっ子のプライドが関係している」とか、「高い調味料を使わない知恵」、あるいは「トスカーナ料理は塩気が強いため」など、諸説ある。

次に重要なのがオリーブオイルである。オリーブオイルは、秋にオリーブの実を収穫し、搾ってつくる。したがって、秋頃に店頭に並ぶものがその年にできた一番フレッシュなものになる。肌寒くなり、温かい料理が欲しくなる秋口に、この新オリーブオイルを使ったリボッリータを食べられるのは至福である。

その中でも、風味豊かなエキストラバージン・オリーブオイルがよい。これは、実を収穫して最初に搾ったそのままのオリーブオイルである。エキストラバージン・オリーブオイルとするには、世界基準で決められている香りや成分の一定基準を超えなくてはならない。トスカーナのそれは香りの良さなどで有名である。