女性蔑視なのに、若い女性を起用する矛盾
トランプ政権の顔といえば、毎日の記者会見を仕切るホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官だ。史上最年少の27歳でZ世代の女性報道官は、ふんわりした金髪に明るい笑顔が特徴だが、トランプ大統領の政策や考えを伝える口調は鋭く、記者からの追及にも一切ブレない。
しかし、彼女を見るたびにモヤモヤした気持ちになるアメリカ人は実は少なくない。トランプ大統領は女性蔑視的な発言で知られており、性暴力の容疑者として起訴もされ、民事訴訟では敗訴している。そんなトランプ政権のトップ報道官になぜ若い女性を置いているのか? という矛盾を感じるのだ。
しかもレヴィット報道官は、政権が打ち出す多様性の廃止など、女性としての自分をも否定するかのような政策を代弁し、時には擁護する。それに違和感を覚える。
いったい彼女の、そしてトランプ大統領の真意はどこにあるのだろうか。
実は若い白人女性の支持を集めるトランプ
2024年11月の大統領選では男女の支持傾向がはっきり分かれた。全年齢では男性の過半数がトランプ支持、女性の過半数はハリスを支持した。また40歳以下の若者の過半数はハリス支持だった。
しかし、例外は若い白人だ。18~29歳の白人男性の63%以上がトランプを支持、女性も49%、つまりほぼ半数がトランプに投票したことがわかっている。つまりトランプ当選を後押ししたのは、こうした白人の若者だったのだ。
実際、選挙戦の間に取材した支持者集会では、男性に混じって若い女性の姿も目立った。これを4年前のデータと比べると、変化がはっきりわかる。2020年は白人の若者は男女ともに過半数がバイデン支持だった。それが今回は男女ともにトランプに寄ったことになる。
白人男性が極端にトランプ寄りになった理由に関しては、すでに多くが語られている。女性やLGBTQ、人種的マイノリティの権利が進む中、白人男性だけが取り残されているという危機感や、逆差別されているという反感に、トランプのレトリックが響いたと考えられている。
では女性はどうだろうか? そこには若い保守女性ならではの複雑な感情がひそんでいる。