今やりたいのは、虐待の問題です
【田原】さて、病児保育もやった。待機児童問題もやった。次は何をやる?
【駒崎】今やりたいのは、虐待の問題です。じつは虐待で死ぬ子どもの半分はゼロ歳児。虐待をする親の多くは望まない妊娠で子どもを授かり、生んだ瞬間に「もう、育てられない」と捨ててしまうのです。
外国の事例などを見ると、それを止めるために有効だといわれているのが養子縁組です。妊婦のときに「大丈夫だよ。産んでも、その子を欲しいという人たちと養子縁組すればいいから」ということが、子どもを殺させないソリューションになるのではないかと。
【田原】また新しいことを始めて忙しくないですか。睡眠取っていますか。
【駒崎】9時から6時までしか働いていないので大丈夫です。自分の家族と夕食を食べる時間があって、子どももかわいがって。自分の最も近くにいる人たちをきちんと幸せにするという姿勢なくして、社会を幸せにしようというのはおこがましい。だから僕は島耕作にだけはなるまいと誓ったんです。
【田原】島耕作って、漫画の? でも彼は出世して幸せそうだけど。
【駒崎】プレジデント読者と島耕作好きはかぶりそうなので言いづらいですけど、島耕作がサラリーマンのロールモデルになる時代は終わらせなきゃいけないと思います。島耕作は会社の中で地位を向上させていくことが自己実現で、家庭を顧みず、離婚して、育児もノータッチ。それで本当にいいのかと。