不透明極まりない経済環境で投資は危険すぎる
実際、アベノミクスが始まった頃(2013年6月)の為替相場は、1ドル=100円前後でした。ですから、海外からさまざまなものを安く買えたのですが、これが2024年4月末には1ドル=160円を超えました。
わかりやすく言えば、100円で輸入できた品物が160円になったのですから、それが価格に反映され、消費者が「モノの値段が上がった」と悲鳴を上げるのはもっともです。
日銀の黒田東彦前総裁がアベノミクスをやりっぱなしのまま退陣し、その後始末をすることになったのが植田和男総裁ですが、10年間も続いた「金利のない状況」を是正するのは難しかった。
2024年7月末に金利を0.25%引き上げると決定、8月5日には4400円以上も株価が暴落するという状況になり(翌6日には3200円以上上昇)、行き着く先が見えません。
不透明極まりない経済環境で投資するなんて危険すぎる。私には、到底理解できない行動なのです。
投資に手を出すのは危険!
日本で「投資教育」を受けた人は、わずか7%
これまで述べた不透明な経済環境に加えて、「投資教育」を受けていない人までが、不安に駆られて投資を始め、大損しているというのが現実です。
実際、投資の何たるかを知らないまま、なんとなく株を買ったり、新NISAを始めたりしている人があまりにも多いのです。その原因は、国として「投資教育」に力を入れてこなかったことです。
それどころか、30年くらい前までは、「投資などせずに、堅実に貯金しろ」というのが、国の方針になっていました。
50年前には、夫が「給料の一部で株を買う」と言うだけで、奥さんが泣き崩れ、親戚縁者から「どこでどう道を踏み外してしまったのか」と咎められるほど。投資などする人は、「道楽者で、おかしな人だ」と白い目で見られていたのです。
そんな状況でしたから、「投資」になどほとんどの人が関心を持っていなかったのです。
結果、金融広報中央委員会が約3万人を対象に実施した「金融リテラシー調査2022年」では「『金融教育を受けた』と認識している人」の割合は、日本では7.9%とじつに少ない。
もちろん、証券会社などの金融機関に勤めていて、「投資」の何たるかを学び、その知識を活かして老後の資産を増やそうという人は別です。
けれど、大多数の人は、「投資」のリスクも教えられずに、儲かりそうだという雰囲気だけで「投資」をしようと思い、金融機関の窓口でファイナンシャルプランナーから勧められるがまま商品を買っているという状況は、いまも昔も変わらないようです。