特に一流の俳優と三流の大根役者には明確な違いが存在していることがデータ分析結果から明らかになっている。
たとえば、三流の役者の具体例として、昼ドラに登場するある役者を分析してみた。すると、夫と妻が口論しているシーンで感情を分析しているにもかかわらず、三流役者の声に含まれる感情の要素は怒りや悲しみではなく、喜びの感情が多く含まれていることが判明した。本来表現すべき感情をきれいにつくることができていないのだ。一流の俳優の例としては日本アカデミー賞を受賞された俳優・渡辺謙さんを分析した。
すると、分析にかけたシーンに必要な感情の成分以外ほとんど何も検出することができなかった。一流の俳優は自らの台詞に含まれる感情を完全にコントロールしていることが判明した。結局、中途半端な嘘の演技は声を通じて感情が見え隠れしてしまうので、結果として視聴者にばれてしまっているのだ。
安倍総理や渡辺謙さんから得られる結論は、ビジネスの現場のプレゼンテーションにも、言葉の中身だけでなく、感情の要素も考慮に入れた訓練が必要ということだろう。言葉の背後に潜む感情表現こそ、プレゼン成功の肝になりうるのだ。
(構成=飯島 豊 写真=PANA)