ファクトの分析で本質を読み解く力が磨かれる
さらに言えば、似た環境&店舗規模の他店との比較なども行なうことで、より鮮明な事実が浮かび上がってきます。
このようにファクトを基に深く分析することで、感情や思い込みに惑わされずに、物事の本質を読み解く力が磨かれます。
ファクトに基づく考察や分析は、本質的な課題や機会を明らかにし、より賢明な意思決定を行なう際に不可欠です。
もちろん、ファクトがいつでも「絶対」というわけではありませんが、物事を読み解くうえでも、本質に迫るうえでも、重要な指標であることは間違いありません。
数字の裏側を見通す力は、本質を見通す力
この流れで「数字」の話をします。
ビジネスシーンでは、多くの場合、数字を読み解く力が求められます。数字を正しく読み解くことで、正しい評価や判断が可能となるからです。
たとえば「売上」の数字だけ見ていれば安心かと言えば、そんなことはありません。食材が高騰し「売上原価」が高くついた結果、売上総利益が低下しているとしたら、いくら売上が高くても評価できません。
数字というのは、ファクトには違いありませんが、多面的・複合的に見ていかなければ、その本質を見落とすリスクも秘めているのです。
「お客様満足度95%!」
こんな数字を見れば、「おっ、スゴイ!」と思うのが人間です。
しかし、このアンケートデータの母数はどれくらいでしょう。母数が20人か、200人か、2000人かで、それぞれ見えてくる世界が異なります。また、アンケートの取り方が作為的で、「満足」や「大満足」にチェックを入れやすい仕組みになっているかもしれません。
数字というのはファクトである一方で、都合よく使うこともできてしまうものです。そのことを理解していると、数字に触れる際に、「この数字はどうやって算出されたのか?」「もう少し多角的に見たらどうなるか?」「つくられた数字という可能性はないか?」――という見方をしていくことができます。
数字を鵜呑みにするのではなく、その数字にまつわる情報を適切に読み解きながら、その数字の正確性や信憑性を判断しましょう。
数字の裏側を見通す力は、取りも直さず、本質を見通す力と言えます。