子供がチームやクラブなどに所属しているなら、その練習に親も可能な限り顔を出して、進歩した部分を発掘してはこまめに褒める。子供はそんな小さな達成感を積み上げ、「やればできる」を体得し、大舞台で「英雄体験」まで味わうこともある。これで人間としての自信がつかないわけがありません。

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とはいえ、挫折の時期も必ずやってきます。一生懸命やっているけれどうまくできない。試合でミスしてチームが負けた。そんなとき、「あの子はできるのに……情けない」などと他の子と比べて叱責する親は少なくないですが、絶対やめるべきです。

長い目で成長を見守るスタンスこそが求められます。とりわけ、小学生までは月齢の差が大きい。同じ学年なら、1~3月の早生まれの子より、4~6月生まれの子のほうが体力が断然上なのはデータでも明らかです。中学2年ころには月齢の差はほぼなくなりますから、子供の成長が遅くても焦らずに我慢強く励まし続けましょう。

幼いころは、バスケやサッカーで芽が出なかったのにラグビーで才能を開花させ、大学2年で早稲田ラグビー部のレギュラーになった卒園生もいます。

ただ、過保護はいけません。例えば、子供が靴ひもを結べないとき、親が結んでやるのではなく、見本をみせて子供本人にやらせるべき。手を貸したほうが時間短縮できますが、自己成長を妨げます。

登山やランニングも子供の成長を促せるスポーツですが、子供は途中で「疲れた」と音を上げるかもしれません。そんなときも、「諦めずに自力で最後までやり遂げる」ことの大切さを教え、甘やかさない。もし無事やり遂げたときには、うんと褒めてやる。“災い”転じて成功体験となるのです。

サッカーでもプレーにああしろこうしろと指示を与えて世話を焼くのではなく、「あの状況で、考えられるプレーの選択肢は……」と例をあげて、子供に思考させることです。チームの連携を意識しつつ戦況を分析しプレーを決断することは、勉強ではできない貴重な経験。小さいころからその習慣がつけば、有能なビジネスマンになる可能性は高いと思います。

バディスポーツ幼児園 園長 
鈴木 威

1950年、東京都生まれ。現在、関東を中心に10園展開。著書に『子どもは体育会系で育てよう!』。
(構成=大塚常好 撮影=永井 浩)
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