新たなブランドをつくるには何から始めたらいいか。美容のメディア運営とコスメブランド事業を展開するDINÉTTE代表の尾﨑美紀さんは「起業した大学4年の時からブランドがやりたかったが、ただの大学生がいきなりブランドを作っても絶対売れない。良いものを限りなくこだわって作るための事業展開をする必要があった」という。北の達人コーポレーション社長の木下勝寿さんが聞いた――。

※本稿は、木下勝寿『なぜあの商品、サービスは売れたのか? トップマーケッターたちの思考』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Iryna Boiko
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「ブランド」が作りたかったから、「メディア」から始めた

【木下勝寿(北の達人コーポレーション社長)】尾﨑さんといえば「バチェロレッテ2」の方というイメージが強いかもしれませんが、今回はバリバリのD2C企業の経営者としてお話を聞かせてください。

尾﨑さんはブランドを生み出す前から美容メディアの事業をやられていますが、なぜメディアをやろうと考えたんですか?

【尾﨑美紀(DINÉTTE代表)】私は2017年の大学4年の時に起業しているんですが、本当は当時からブランドがやりたかったんです。だけど冷静に考えて、ただの大学生がいきなりブランドを作っても絶対売れないじゃないですか。だから商品を出した時に一定は買ってくれる人たちがいるコミュニティを先に作っておこうと考えてメディアから始めたんです。

【木下】先に「ブランドを作ろう」という目的があって、準備が整ってから参入した感じですか?

【尾﨑そうですね。

【木下】賢いですね(笑)。

【尾﨑その時はただ闇雲で、大学生なので融資も受けられないからお金もないし、まずは安定して得られるミニマムの売り上げを作っておいて、法人としてお金を調達できたり、なんならエクイティ(株式による資金調達)もできるかもという状態にした上で商品を作った方が、良いものを限りなくこだわって作れると思ったんですよね。

お金がない中で商品を作ろうとすると「これしか作れない」となってしまいそうだし、何より一番最初に出す商品で顧客の心をつかめないと、その後に出すものを買ってもらえなくなるリスクも高いと思ったので、ある程度キャッシュがある状態でやりたいと思っていたんです。

【木下】それを大学生の時に考えた?

【尾﨑はい。

【木下】今まで登場いただいたゲストの中で一番頭がいいかもしれないですね(笑)。