3割負担なら白内障手術は両眼12万円程度だが…

筆者は強度近視(0.02)であり、1年ほど前からパソコン画面に向かっていて、霞がかっていることがあった。

ただ極端に見えにくくなることもなく、ふだんの生活に支障は出ておらず、初期混濁の状態と考えられた。

それでも近視、乱視矯正のために白内障手術を受けることを決めた。

東京・日本橋にある白内障専門の眼科医院受付
筆者撮影
東京・日本橋にある白内障専門の眼科医院受付

白内障手術は、濁りのある水晶体の中身を摘出して、人工水晶体「眼内レンズ」をインプラント(移植)する。人工歯根、骨折などのあと骨を固定するためのボルト、人工内耳、心臓のペースメーカーなどと同じである。

気軽な手術であり、筆者同様に白内障の軽い症状であっても、近視、遠視や乱視矯正のために眼内レンズの移植をする手術を受ける人が増えている。「人生100年時代」を迎え、生き生きとした健康な日々を送るためには、目から得られる情報は欠かせないからだろう。

眼内レンズには、1カ所のみにピントが合う「単焦点レンズ」、手元から遠方まで広範囲にピントが合う「多焦点レンズ」の2種類がある。「単焦点レンズ」は、ピントに合わせた距離はクリアにはっきりと見えるが、それ以外のところを見るには眼鏡を使わなければならない。

白内障手術の単焦点レンズが保険適用となったのは1992年で、それ以来、単焦点レンズのみが保険適用とされ、多焦点レンズは自己負担の自由診療で、こちらは高額となる。

白内障手術を受けると決めて、「良い眼科医」を探すためにさまざまな“白内障本”やHPを調べてみた。当時、筆者は69歳だから、手術費用は一律3割負担で、片眼6万円程度、両眼12万円程度となっていた。

70歳以降に受けるだけで最安8000円に

ところが、ある眼科医院のHPで「70歳以上」と「70歳未満」で費用がまったく違うことを知った。

69歳と70歳では、費用面から言えば、雲泥の差があるというのだ。

「70歳以上」でも、年収370万円以上の現役世代並み所得であれば、同じ3割負担で片眼6万円程度、両眼12万円程度という金額は変わらない。ところが、年収370万円以下の一般、または住民税非課税世帯であれば、2割負担となる。70歳で、2割負担であれば両眼で「1万8000円」あるいは「8000円」となっていた。

筆者の白内障はまだ初期段階であり、70歳の誕生日を待ってからでも、生活に大きな支障はない。費用のことを考えれば、70歳になってから手術を受けることでまったく問題なかった。

ただ、「3割負担で12万円程度」のものが「2割負担ならば1万8000円あるいは8000円」となるのは、数学的にはおかしいと気がついた。