年収700万円程度なら上限は5万円ほど引き上げ

「高額療養費」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食費負担や差額ベッド代などは含まない)が、1カ月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合、その超えた金額が3カ月後くらいに戻ってくる制度のことである。

上限額は年齢や所得によって異なる。

今回の改正で、自己負担上限額は、2025年8月から2027年8月にかけて、年収約650万~770万円の現役世代の場合、現在の月8万1000円から約13万8000円に引き上げられる。

この引き上げに反発するがん患者団体らの強い要望を受けて、政府は何らかの緩和策を示す方針である。

今回は、高額療養費にある70歳以上の固有の制度「外来特例」の見直しも行われる。こちらは、ニュース等にはなっていない。

筆者の受けた白内障手術を例に「外来特例」とは何かを説明する。

70歳以上が受けられる「外来特例」とは

白内障手術を受ける人は高齢者を中心に大幅に増えている。

白内障は、多くの場合、加齢に伴って水晶体に濁りが生じてくる病気であり、白髪などと同様に一種の老化現象と考えられている。

公益財団法人日本医療機能評価機構の研究によると、初期混濁を含む白内障の症状は50代で37~54%、60代で66~83%、70代で84~97%、80歳以上になると100%に出現するという。

さらに中度以上のある程度進行した白内障となると、50代で10~13%、60代で26~33%、70代で51~60%、80歳以上で67~83%に症状が見られるという。

眼科医による多くの“白内障本”では、60歳以上の8割以上が何らかの白内障を持っていると書かれている。60歳以上の人は要注意の病気となる。

ただ、白内障があっても視力はちゃんとあり、日常生活にまったく支障のない人も多い。「皮質白内障」を例に取れば、水晶体のまわりの部分の皮質から濁りが生じてくるため、濁りが瞳の真ん中まで到達しなければ、問題なく見えるという。

つまり、人によって老化の進み具合が違うように、まったく白内障にならない人や白内障でも生活に影響のない人などさまざまである。