データで“匠の技”を可視化する
森嶋さんは1975年、蔵の向かいにある実家で長男として生まれ、「150年以上続く酒蔵の跡継ぎ」として育てられた。といっても酒造りは仕込みをする冬のみ、外部の「杜氏集団」に委託するのが習わしだった。だが、父で社長の森嶋鎮一郎さんの、「うちみたいな小さな蔵はお前が酒造りをできる体制でないと、杜氏を招く力がなくなったときに生き残れない」という勧めを受け、東京農業大学に進学して発酵を学ぶ道へ。その後、滋賀県の酒造で修行し、佐賀県の伝説的な杜氏にも師事したという。
そんな森嶋さんの酒造りの特徴は、徹底したデータ管理だ。たとえば、もろみの発酵温度、麹をつくる温度、米を蒸す前に水に吸わせる際の米と水の割合など、数値を取れるものはすべて取り、細かく記録している。回数も頻繁だ。もろみの発酵温度の計測は他に行っている蔵もあるが、1日1回、多くとも2回までのところがほとんどだという。しかし森島酒造では1日3回、朝・昼・晩と行っている。
計測はなんと「紙とペンと定規」
また、1日1回はもろみのアルコール度、日本酒度、酸、アミノ酸、グルコースの量と見た目、味を組み合わせて分析する。これらの結果をもとに、緻密に温度や素材の量を調整していくのだ。酒が完成した後にもデータをとる。
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