一刻も早い医療機関での治療が重要
脳卒中が疑われる場合は、ただちに119番に通報し、救急車を呼びましょう。脳卒中は発症後の時間経過とともに脳へのダメージが進行するため、一刻も早い医療機関での治療が必要です。
救急車が到着するまでの間、周囲の人が適切に対応することで、重症化を防ぎ、治療の効果を高めることができます。以下の対応を落ち着いて行いましょう。
1.安全な体勢を保つ
本人を横向きに寝かせ、頭を少し高く保ちます。無理に動かすと症状が悪化する可能性があるため、慎重に対応しましょう。
2.意識や呼吸の確認
声をかけても反応がない場合は、呼吸や脈拍を確認します。もし呼吸が止まっている、または脈拍が確認できない場合は、すぐに心肺蘇生法(CPR)を開始してください。
3.救急隊への情報提供の準備
発症した時間や具体的な状況、症状、本人の既往歴(高血圧や糖尿病の有無など)を記録し、救急隊員や医療スタッフに伝えられるよう準備しておきましょう。
リハビリの継続は回復に大きく影響する
脳卒中の後遺症は、発症した部位や範囲、年齢、健康状態、治療の開始時期によって異なります。一般的に軽症・中等度・重症に分類されます。
軽症:日常生活への影響は少なく、適切なリハビリによって回復が期待できる状態です。
・軽度の麻痺や感覚障害(手足のしびれ、軽い動作のぎこちなさ)
・記憶力・集中力の低下(物忘れが増える、長時間の作業が困難)
中等度:日常生活に支障をきたすが、リハビリによる改善が期待できる状態です。
・半身麻痺(片側の手足が不自由だが、自立歩行が可能な場合もある)
・言語障害(話しづらい、言葉の理解が困難)
・嚥下障害(食べ物を飲み込みにくい、誤嚥のリスクあり)
重症:日常生活が困難となり、介助が必要な状態です。
・重度の半身麻痺(片側の手足がほぼ動かない)
・感覚障害の進行(痛みや温度を感じにくくなる)
・高度な言語障害(意思疎通が極めて困難)
・深刻な嚥下障害(経管栄養が必要になることも)
最重症(高度な介護が必要):完全な寝たきり状態となり、常に医療や介護の支援が必要になります。
脳卒中の後遺症は、早期の適切な治療とリハビリによって改善の可能性があります。特に、発症後の急性期治療を迅速に行うことで、後遺症の重篤化を防ぐことができます。
また、リハビリの継続は回復に大きく影響します。理学療法(運動機能の回復)、作業療法(日常生活動作の回復)、言語療法(会話や嚥下機能の改善)などを適切に行うことで、機能回復の可能性を最大限に引き出すことができます。