海を越えてきた神話の登場人物たち

文明10年(1478)、臨済の僧であり名高い儒学者であった桂庵玄樹が薩摩に招かれ、いわゆる薩南学派を興した。この機会を利用して、彼は薩摩や日向の地の旅をしている。

鵜戸を訪れたとき、“鵜戸びょう”にもうで、次のような臨場感にあふれた詩を残している(『島陰漁唱』、『島陰集』ともいう)。

扶桑開闢かいびゃく帝王城 神武霊蹤れいしょう
今古驚定百龍燈照深夜 海濤打岸怒雷声

このように、宣教師たちが記録を残した以前にも、鵜戸の洞窟を神武の霊蹤、つまり聖跡とする神話と結びついた信仰があったことを知ることができる。