外貨準備にビットコインを組み込む検討を開始
中東欧の小国であるチェコで、外貨準備の一部に暗号資産であるビットコインを組み込もうとする動きが出たことが話題となっている。中央銀行であるチェコ国立銀行(CNB)のアレシュ・ミフル総裁が1月29日、英フィナンシャルタイムズ紙によるインタビューで、準備資産の最大で5%をビットコインで保有する可能性に言及したのだ。
チェコの準備資産は約1400億ユーロ(約22.5兆円)存在する。その5%だから、70億ユーロ程度をビットコインで保有するという構想だ。このインタビューの翌日、欧州中央銀行(ECB)が定例の政策理事会を開催され、ミフルCNB総裁はクリスティーヌ・ラガルドECB総裁に同様の提案を行ったようだが、一蹴されたとのことである。
チェコは欧州連合(EU)に加盟しているが、ユーロを導入せず、独自通貨であるコルナを維持している。一方でEU各国の中銀は、ユーロに加盟しているかどうかを問わず、ECBを頂点とする欧州中央銀行制度には加盟している。ゆえにCNB総裁はECBの一般理事会に出席し、ECB総裁との間で緊密なやり取りを行う必要に迫られる。
ここでCNBのバランスシートを確認してみたい。負債・資本サイドのうち、現金が0.7兆コルナであり、当座預金が2.5兆コルナある。これらを合計した3.2兆コルナが、いわゆるマネタリーベースということになる。一方で、資産サイドのうち外貨建て資産が3.4兆ユーロに達し、バランスシートの95%を占めていることが分かる。
つまり、チェコの通貨コルナは、外貨建て資産に100%裏打ちされた通貨だということになる。言い換えれば、コルナの信用力の源泉は外貨であるため、チェコは実質的に「外貨本位制度」ともいえる通貨政策を採用していることになる。この信用力の源泉の5%を、ミフルCNB総裁はビットコインで保有したいと主張しているわけだ。