日枝氏が辞任したところで意味がなくなった
社長交代についても、清水新社長にはいい印象を受けた。しかし日枝氏が雲隠れしたことによって、新人事もかすんでしまった。役員の刷新も中途半端で、日枝氏が裏で糸を引いているのではないかという憶測が生まれる。また会見中に日枝氏の名前が連呼されたことで、テレビ界のことをよく知らない人、ひいては視聴者が日枝氏の名前だけインプットし、「日枝イコール悪」のようなイメージを抱く事態となった。結果的に、余計に問題を長引かせる原因をつくってしまったということだ。
今回のように、会見に出席せず、かつ残留するという選択は愚策としか言いようがない。日枝氏が残留する選択をしたのであれば、会見に出席するのはマスト。そのうえで外部からメディアに精通した経営者を召喚しなければならなかった。
とはいえ今から辞任を発表しても、もう遅い。膿を出すには適したタイミングがある。1月27日が辞任する役員の中に名を連ねる最後のチャンスだった。27日の会見をもって完全に信頼を失い、これから日枝氏が辞任したとしても意味がなくなるほどの混乱を招いてしまったのだ。
“現場の結束”がフジテレビ再生への道
「週刊文春」が記事の一部を訂正したが、だからと言ってスポンサーが戻ってくることはないと考えている。今回明らかになったフジテレビが抱える諸問題が解決したわけではないからだ。
もはや、現場の社員が結束して日枝氏を引きずり下ろすぐらいのことをしないと、フジテレビが生き残る道はないだろう。スポンサーも、そこまでしないと戻ってこない。
日本人の場合は特に「壊してしまえ!」というよりも、なるべく穏便に元の状態に戻したいと望む傾向にある。多くの企業は今もなお、フジテレビにスポンサーとして再びCM出稿したいと望んでいるのではないだろうか。各社そのタイミングを見計らっている状態だ。しかし、いくら「社長と会長が変わりました」と言っても、日枝氏が残っているとなれば堂々巡りである。
日枝氏が自ら辞任することはないだろう。だからこそ、現場が行動を起こす必要がある。先日の社員説明会で感情を露わにした若手がいたが、そうした人を中心に現場の社員でストライキを起こし、日枝氏を引きずり下ろす様をスポンサーや視聴者に見せてはどうか。それによりフジテレビ再生を示すことができ、信頼の回復やスポンサーの復帰につながるはずだ。