携帯ショップの店頭でも2年縛りプランを前提とした営業が行われているため、ユーザーにはほぼ選択肢がないのが実情だ。つまり事実上、携帯料金は大手3社による談合状態になっており、MNPの導入で本来期待されていた適正な競争が行われていない。
「すでに携帯電話は社会生活に欠かせないインフラであり、電波という限られた資源を専有している携帯キャリアの不当な儲けすぎは批判されるべき。もう少し行政側がハンドリングして、通話料金や回線品質といったキャリア本来のまっとうなサービス競争に改めるべきです」
あまりにも複雑でわかりづらい料金プラン、そして「携帯は高いもの」というユーザーの認識が、携帯キャリアの囲い込み戦略を助長しているといえるのかもしれない。残念ながら、現時点ではこの問題を個人レベルで争うことは難しい。仮に「解約金は不当だから払わない」と主張しても、「1人で裁判をしても100%負けるでしょう」(長野弁護士)と言うようにまず勝ち目はないだろう。
ただし、今回のKDDIの判決を受けて、日本通信は「縛り」を撤廃、ウィルコムも2台目以降の解約金を無料にした。自由な契約を求めるならこれらのキャリアに加入するのも手だろう。いずれにしろ、携帯キャリアは現在の料金設定が本当に適正なのか、ユーザーの利益を考えられたものなのか、もう一度検討するべき時期にきているといえそうだ。
(取材・文=呉 琢磨)