デフレ脱却を急ぐ政府が経済界に賃上げを強圧的に迫る“口先介入”という異例の展開となった今春闘は、3月半ばまでに大手企業の労使交渉を終え、ヤマ場を越えた。政府介入もさることながら、これまで「脇役」だった流通サービス大手が、製造業大手に代わって賃上げの流れを生む「主役」に躍り出たのは、これまでの歴史を大きく変える出来事だった。

政府要請に応じるように、コンビニ大手のローソンが真っ先に20代後半~40代社員の一時金3%上積みに手を挙げ、流れを決定付けた。これを契機に、流通サービス大手が堰を切って賃上げに動き、流通二強は業績連動型の一時金に加え、セブン&アイ・ホールディングスが傘下の主要企業で、イオンは子会社イオンリテールで、製造業大手が「論外」としたベースアップ(ベア)実施に踏み切った。家具販売大手のニトリホールディングス、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスもベアで応じた。

【関連記事】
インフレ目標あざ笑う小売り・外食“価格崩壊”
“65歳雇用時代”到来で現役の実質賃下げが視野に
外食産業の地図を書き換えるゼンショー、コロワイド
零細企業ニトリが大企業になれた理由
なぜ、埼玉出身の飲食・流通企業は好調なのか