5、6年前、こんなことがあった。ある顧客が約200万円の新しい機械の導入を検討していた。ところが他社と競合状態になり、値段や細かい機能の比較に陥ってしまったのだ。

「購買や総務ならコストが第一。でもそのお客様はマッキントッシュでデザインをして印刷する仕事をしていました。本当はそういう方って、一番大事なのはコストじゃないんですよね」

顧客の立場に立ってみてそう直感した白石さんは、値段の話は抜きで、一度ショールームに来てもらうことを提案。専門部隊に、オンデマンド印刷を含めた企画案をプレゼンしてもらった。

「そうしたらやはりお客様の最大の関心事はコストではなく、これからいかにして仕事の幅を広げていくかだった。それであっという間に商談の土俵が変わり、そのときご紹介した2000万円の印刷機を買っていただけました」

200万円が2000万円に。常に顧客の立場に立って考える共感力は、ときに10倍の売り上げをもたらすのである。

■服装や靴の選び方…機器を設置する際にかがむことが多いため、動きやすいように必ずパンツスーツ。靴は長時間歩いても疲れにくいため、ストラップ付きのパンプスと決めている。

■お客様との接し方…上司に同席してもらうなど、男性のお客様とは2人では食事に行かないようにしている。

■セクハラ防衛法…相手も気を使ってくれることが多く、特にセクハラに遭ったことはない。会社用の携帯があるため、連絡先を聞かれて困ることもない。

■ONとOFFの時間…夫とは社内結婚。家にできるだけ仕事は持ち帰らないようにしている。お酒を飲むことがストレスの解消法。

■自分のセールス点…小さな相談事を積み重ねて信頼を得るようにしている。業界誌を購読して業界用語などを勉強し、お客様目線で商談をする。

(尾関裕士=撮影)