信長の次男・信雄の野心

丹羽長秀は、一益の言い分を認めたらしく、織田家の「御台所入」(蔵入地)を削ってでも、その要求に応じるべきだと、秀吉に求めたようだ。秀吉は、8月11日に長秀に返書を送り、滝川の言い分はわかったが、領地配分が決定してしまっている現状では、今や織田家の「御台所入」(蔵入地)を減らす以外に方法がない。だが、それを減らすことは、織田家の将来に不安があるし、諸将に応分の負担を求めると、それでは皆への影響も大きいと述べ、これは滝川だけの問題ではないので、宿老衆とよく相談する必要がある、と記し、明確な回答をしなかった。

結局、一益への待遇は棚上げされたままとなり、彼は不満を募らせることとなる。