箱根駅伝の見どころは「首位争い」だけではない
箱根駅伝では総合順位が10位以内に入ると、次回大会へ自動的に出場できるシード権を得られる。今回(101回大会)出場する立教大は63年ぶりにこのシード権獲得を射程に入れ、さらに國學院大や青山学院大、駒澤大といった実力校を追いかけている存在だ。
今季の立大は、6月に開催された大学三大駅伝のひとつ全日本大学駅伝の予選会(関東学連推薦校選考会)を初めて突破し、11月上旬の本戦でも7位に食い込んで「初出場・初シード」の快挙を成し遂げた。
全日本大学駅伝のわずか2週間前には箱根駅伝予選会で43大学中トップ通過(100回大会は総合14位)していた。過密日程で予想以上に好成績をあげたのだ。
チームを躍進に導いているのが、4月に就任したばかりの髙林祐介駅伝監督だ。まだ37歳。青山学院大の原晋監督57歳、駒澤大の藤田敦史監督48歳、國學院大の前田康弘監督46歳などと比べるとかなり若い。
駒澤大時代は三大駅伝で計7度の区間賞を獲得して、全日本大学駅伝の3連覇に貢献(箱根も総合優勝1回)。実業団のトヨタ自動車ではニューイヤー駅伝で日本一にも輝いている、駅伝界の超エリートだ。
トヨタ自動車陸上長距離部を退部した後は一般業務をこなしながら、レースにも参加した。2022年からは母校の駒大コーチに就任。今年の4月に立大前監督の不祥事による退任を受けて、新指揮官に抜擢された。
以前、トヨタ自動車陸上長距離部出身の知り合いがこんなことを話していたのが強く印象に残っている。
「競技を上がった後は仕事で悩む元選手は少なくありません。そのなかで髙林は仕事もそつなくこなしますし、絶対に指導者に向いていると思いますよ」
立大は2023年1月の99回大会に実に55年ぶりに箱根駅伝本選出場を果たし(総合18位)、翌24年は監督不在の中、前述したように14位。ここ数年地力をつけていたものの、指導者が突然代わり新任就任のたった数カ月でいきなり結果を出したことになる。
髙林監督は学生たちにどんな魔法をかけたのだろうか。