「わたしたちは悪くない」という無意味な主張

ただ、この「謝る」ことを先にできない人も結構多いと感じることがあります。みなさんもビジネスにおいて、こんな言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「自分たちは先に伝えている」
「ずっと周知し続けていたはずだ」
「チャットにしっかり書いているんですけど」

実にさまざまな言い方がありますが、つまるところ、「わたしたちは悪くない」と言いたいわけです。

特に、情報の発信側は、つい「先に伝えた」「ここに書いている」と言いたくなりがちですが、こうした言葉の応酬が、コミュニケーションのミスや断絶を生む典型的なパターンなのです。

スタートアップスタジオで働く若いビジネスクルー
写真=iStock.com/Pinkypills
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「どちらが正しいか」よりも「話が伝わっているか」

ここでお伝えしたいのは、コミュニケーションは、「相手に伝わっていない時点で負け」だという事実です。

なにかを指摘されると、つい感情的になり、自分たちを正当化しがちですが、主観や感情を盾にしてかたくなに謝らないでいると、ビジネスにおいては、結果、手がつけられないエラーにまで発展する可能性もあります。

もちろん、どんな場合も謝ればいいというものではないし、謝罪を強制するのはハラスメントです。

ですが、あきらかなコミュニケーションの齟齬があるにもかかわらず、それに対して「わたしはちゃんとやっています」と返すのは、残念ながらコミュニケーションとしては0点の対応と言っていいでしょう。

「ビジネス会話」では、どちらが正しいか、正しくないかではなく、まず「伝わっているか、伝わっていないか」にフォーカスすることに注意しましょう。