「わたしたちは悪くない」という無意味な主張
ただ、この「謝る」ことを先にできない人も結構多いと感じることがあります。みなさんもビジネスにおいて、こんな言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「自分たちは先に伝えている」
「ずっと周知し続けていたはずだ」
「チャットにしっかり書いているんですけど」
実にさまざまな言い方がありますが、つまるところ、「わたしたちは悪くない」と言いたいわけです。
特に、情報の発信側は、つい「先に伝えた」「ここに書いている」と言いたくなりがちですが、こうした言葉の応酬が、コミュニケーションのミスや断絶を生む典型的なパターンなのです。
「どちらが正しいか」よりも「話が伝わっているか」
ここでお伝えしたいのは、コミュニケーションは、「相手に伝わっていない時点で負け」だという事実です。
なにかを指摘されると、つい感情的になり、自分たちを正当化しがちですが、主観や感情を盾にして頑なに謝らないでいると、ビジネスにおいては、結果、手がつけられないエラーにまで発展する可能性もあります。
もちろん、どんな場合も謝ればいいというものではないし、謝罪を強制するのはハラスメントです。
ですが、あきらかなコミュニケーションの齟齬があるにもかかわらず、それに対して「わたしはちゃんとやっています」と返すのは、残念ながらコミュニケーションとしては0点の対応と言っていいでしょう。
「ビジネス会話」では、どちらが正しいか、正しくないかではなく、まず「伝わっているか、伝わっていないか」にフォーカスすることに注意しましょう。