「平成とギャルと震災」の方程式が解けていない
最後に、震災の話をする。神戸編になり、結の周囲の大人たちの「立ち直り方」が描かれた。一つ一つにドラマがあり、心のひだが見えてはくる。が、結の関わりといえば、「立ち直りを結なりに助ける」でしかない。
結と震災はと言うと、繰り返し流れるのが震災当日の映像だ。夜の避難所に結と姉と母が座っている。そこにおむすびをたくさん持った女性が来て、配っていく。それを口にした結が、「おばちゃん、これ冷たい。ねえ、チンして」という。女性は家を出る時は温かかったけれど、街も道路もめちゃくちゃでここまで来るのに時間がかかったと語り、「ほんまにごめんな」と泣くのだ。
これがタイトルになるわけだから、きっとどこかに行き着くのだろう。が、これまでのところ描かれたのは、「こども防災訓練」で「炊き出し隊長」になった結が「温かいわかめおむすび」にこだわる姿だけだった。
平成とギャルと震災。その3次方程式がうまく解けていないのだと思う。平成元年生まれの結は、震災当時5歳か6歳。これがネックになっている気がしてならない。記憶が薄いから、結がビシッと定まらない。
ギャルらしいファッションなのだろう、ごく短いジーンズのショートパンツ(←表現、あってますか?)を履いて、ずっと頑張っている。だけど困っては助けられ、助けられては困り、の繰り返し。結はそんな女の子でいいのさ、可愛いからね。と製作陣が思ってはいないだろうか?
そう疑いつつ、まだこれからだと思うことにする。12月最終週には、肩を壊したヨン様のこれからが描かれるようだ。「彼氏を支えたい」結の正念場。結も「おむすび」も踏ん張りどころだと思う。