反復すると、脳の記憶にしっかり残る
それに、たとえ「何冊読んでも一緒だった」という結果になったとしてもいいではないか。違う専門家が同じようなことを本に書いているのであれば、そのテクニックやノウハウに対する信頼度はさらに高くなる。「読んで損した」という感情を抱くべきではない。同一テーマの本の、同一のトピックを読めば、より一層多様な視点が手に入るはずだ。
「アジェンダはこう作るのか」
「このような会議の進め方のほうが自社に合っている」
「この著者はアナウンサーか。だからこの本で紹介されているやり方は、他と違うんだ」
本を読み比べるといろいろな発見がある。そのテーマに対する見識が爆発的に増えていく。「たかがファシリテーションと思っていたけど、シチュエーションによって随分とやり方も変わるんだな」多くの経験をしないと身に付かない見識が、10冊近く読むだけで、ある程度身に付いてしまうのだ。こうして体系的にノウハウを覚え、深く理解することで、自分が実践するときはどうしたらいいのか。具体策もイメージできるようになる。
また、実際にやってみてうまくいかなければ、もう一度「水平読書」を試みてほしい。チェックを付けた「目次」を頼りに、再びザーッと10冊ほどに目を通すのだ。すると、確実に新たな発見があるはずだ。
「そうか! 出席者の事前情報を正しく収集できていなかった。それを忘れていた」どの本で、その重要なポイントを見つけられるかはわからない。だから複数の本を並べて「水平読書」をするのである。
「水平読書」を反復することで、重要な知識が脳の短期記憶(ワーキングメモリ)にしっかり格納される。何かあったとき、すぐに思い出せるほど記憶に残る。まさにこれが「ダム勉強」である。