「事例」や「コラム」は飛ばしていい

こういった作業をすると、たったこれだけでも相当な満足感を覚える。4冊本を買って、すべての目次をチェックし、勉強したいテーマに沿ったトピックに赤ペンで丸を付けたり、線を引くだけで、かなり「わかった気になる」ものだ。

反復が脳の海馬を活性化させる。だから重要なトピックが記憶として残るだけでもかなり有益な作業だ。読書したあとに「知識を思い出すトリガー」になってくれるから、この作業は丁寧にやっていこう。

さて、ここで私が気を付けているポイントを1つだけ紹介する。それは、事例やコラムなどは飛ばすことだ。あとで時間があるときに読むようにする。最初は、ノウハウやテクニックを覚えることだけに集中するのだ。

チェックしたすべての目次の内容は一気に読んでほしい。時間をかけられる人は、飛ばさなくてもいいが、私のようなせっかちな人は、テクニックやノウハウだけを追いかけたほうが効率的だと思う。

チェックしたすべてのトピックを読むのに、どれぐらいの時間がかかるだろうか。たとえ4冊あったとしても、1時間もかかることはないだろう。1冊目は少し時間がかかったとしても、2冊目からは、かなり速く読めるはずだ。

なぜなら、同じような内容が書いてあるからだ。1冊目に書かれてあった内容と異なるポイントだけに着目し、マーキングしたりメモを残せばいい。3冊、4冊も同一テーマの本であるから、読めばざっくりとした全体像がわかるはずだ。

3~4冊読んでも「わかった状態」にはならない

全体像がわかったら、次は細部にも目を向けてみよう。とくに重点課題だと思う箇所(本当に実践する事柄)を再読するのだ。どうせ実践で使わない限り、記憶には残らない。ここは徹底して割り切るべきだ。たとえば、

● ファシリテーションのための情報収集
● アジェンダの作り方
● オンライン会議でのファシリテーション術

について、さらに詳しく知りたい。来週から実際に意識してやってみたい。そう思える箇所を3~4冊並べて詳しく読み込むのだ。重点的に覚えたい箇所を再読しながら、また、

● ファシリテーターの心得
● ファシリテーションのための準備

といった基本的なトピックを読み返してみる。そうすることで、「そうか。なぜアジェンダをこうしなくちゃいけないのか。ようやくわかった。準備段階の心得と繋がっているんだな」と、点と点が繋がっていく感覚を味わったら、かなり理解度のレベルは上がっている。

1冊の本を超えて点と点が繋がっていく(コネクティング・ザ・ドッツ)ことで、どんどんと知識の幅が広がっていく。このテーマに関する興味・関心も、驚くほど湧いてくることだろう。

とはいえ、ここで満足することなく、さらに3~4冊は同一テーマの本を買って「水平読書」をしてみよう。「もう、だいたいわかった」と思い込んではいけない。そう思った時点で「ダニング=クルーガー効果」が働いていると受け止める。3~4冊本を読んだからといって「わかった状態」になることは、断じてない。どんなテーマであってもだ。