知識を体系的に組み立てられるようになる

(3) 体系的な知識習得

3つ目の特徴が「体系的な知識習得」だ。「水平読書」の目的は勉強である。読書が目的ではない。勉強であるがゆえに、枝葉の知識ではなく、体系的に、網羅的に知識を習得することが不可欠だ。

勉強するには「着眼大局・着手小局」の考えが不可欠。「水平読書」を通じて様々な角度から情報を得ると、そのテーマに関する知識を体系的に組み立てられるようになる。単に情報収集するだけではなく、知識を統合し、より広い視野で物事を捉えられるようになる。

ファシリテーションというテーマであれば、どんな準備をすべきか。対象者に対する前提知識はどのように取得すべきか。ファシリテーションしやすい環境設定のやり方はどうか。導入部から課題設定は? アジェンダの作り方、仕切り方、さばき方、意見の拡げ方、まとめ方、フォローのやり方など……。

5~10冊も読めば、気付くはずだ。「ファシリテーションって、いろんなことに気を付けないといけないんだ」と。そうして初めて、「ネットで知り得た知識は、ほんの一部分だった」と理解できるようになる。

開いた本と積まれた本
写真=iStock.com/SPmemory
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最初から最後まで読む必要はない

続いて「水平読書」の手順に解説する。手順は4つである。

(1) テーマを設定する
(2) テーマに沿った本を選ぶ
(3) テーマに沿った目次をチェックする
(4) チェックした部分だけ読む

買い物でたとえたらわかりやすい。サンドイッチを作りたい。そのための材料をスーパーへ買いに行った。その際、食パンが売っているコーナー、卵やハムが売っているコーナーなど必要なものが置いてある場所を目指すことだろう。目当ての材料が見つかったらそれらをカゴに入れていけばいい。

このようなやり方の読書バージョンが「水平読書」である。スーパーで売っているものをすべて抜け漏れなくチェックするのではなく、「必要なものが売っているコーナー」だけを目指す、というやり方だ。

したがって「ファシリテーション」というテーマを掲げたのなら、そのテーマについて書かれてある箇所だけに立ち寄って読むのである。もっと細かく「ファシリテーションの準備」だけを勉強したいなら、その箇所だけに立ち寄って精読すればいい。本を最初から最後まで読む必要はない。