テレビタレント志向ではないから、優勝後も参戦を決めた

ラリー遠田『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)
ラリー遠田『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)

さらに言うなら、ほかの芸人は「M-1」を売れるための手段だと考えているようなところもある。「M-1」で優勝すれば、それをきっかけにしてテレビにたくさん呼ばれたりして、そちらで活躍できるようになるかもしれない。ほとんどの芸人はそのコースを目指しているので、優勝した後でわざわざ再出場して無駄な苦労を背負う気にはならない。

だが、令和ロマンはテレビタレント志向の芸人ではない。だからこそ彼らは何の迷いもなく「M-1」再挑戦を宣言できたのだ。

血と汗と涙ではなく、お笑いへの純粋な興味や好奇心と戦略でつかんだ勝利。令和ロマンは、これまでのお笑い界の常識を覆す新時代のチャンピオンとなった。

【関連記事】
【第1回】なぜ女性芸人は「ブス」「デブ」の容姿イジりをやめたのか…松本人志の分析とはちがう令和ならではの理由
〈M-1グランプリ〉結成6年目であの域に達した芸人は見たことがない…元王者ノンスタ石田が絶賛する若手コンビ
「感動ポルノ」と批判する人は誰もいなかった…今では考えられない「24時間テレビ」第1回目のすさまじい熱狂
「テレビ復帰は絶望的」は大した問題ではない…ダウンタウン松本人志に残された芸人として生きる"唯一の道"
「推しの子」を超す勢いで海外のファンが急増中…日本の高校を舞台にした異色の「ラノベ発アニメ」とは