ブルーベリー、ナス、紫キャベツに含まれるアントシアニン
ここでは、アントシアニンを例に取って見てみましょう。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーやブドウなどの果実、ナス、紫イモ、赤タマネギや紫キャベツなどに多く含まれる青紫色の天然色素です。
アントシアニンの持つ機能としてとりわけ重要なもののひとつは、紫外線から保護する作用、すなわち抗酸化作用です。
野菜などに含まれる抗酸化成分は、近年、健康との関連で特に注目されている物質です。アントシアニンをはじめとするポリフェノール以外にも、カロテノイド、クロロフィル、フィコシアニンなどにもこの抗酸化の働きがあります。
紫外線は、多くの生物に有害な影響を及ぼし、細胞内に活性酸素が発生する原因となります。活性酸素とは、通常の酸素よりも反応性が高く、接触したものを酸化させる性質を持つ物質です。金属が酸化に伴って錆びるように、われわれの体も、酸化すればダメージを受け、老化が進みます。
こうした紫外線からのダメージは、植物も当然、受けています。日光を避ける術がない植物にとっては、事態はいっそう深刻と言っていいでしょう。そのダメージへの対抗手段として植物が生み出している防御物質──それこそが抗酸化成分なのです。
そうした成分を、人類も含めた動物は、自ら作り出すことができません。だから、植物を摂取することで補う必要があるのです。アントシアニンもそのひとつであり、植物を鮮やかに色づかせる色素であると同時に、植物の細胞を酸化から防御する働きもしています。
腸内細菌が健康に与える多大なる影響
ビタミンB1が欠乏すると、脚気という病気を引き起こします。というより、19世紀から20世紀への端境期、脚気を発症する原因を研究者たちが探っていったことこそが、ビタミンB1の発見につながったのです。
最近、腸内細菌についての研究が進む中で、意外な事実がわかってきました。それは、食したジャガイモの成分を原料として、ヒトの腸内でもビタミンB1が作られているのではないかということです。
ヒトの体内に生息する細菌の90%は腸内に存在し、腸内細菌叢を形成しています。その様子が花畑(フローラ)に似て見えることから「腸内フローラ」とも呼ばれるわけですが、健康維持においては、これが途轍もなく大きな役割を果たしているのです。
これらの腸内細菌は、すべてがいい働きをするわけではなく、その作用の別に応じて、俗にいう「善玉菌」「悪玉菌」そして「日和見菌」に分類されます。日和見菌は、腸内環境において善玉菌と悪玉菌のどちらが優勢であるかによって、優勢である側に加勢するような働き方をすると言われています。