「プロゴルファーになったよって想太くんに言いたい」
我が国では、地下鉄サリン事件などの影響もあり、宗教というと、忌避されるか侮蔑の意味に捉えられやすい。世界的にも伝統的な宗教の影響力は低下していると言われている。
そんな現代において、「推し活」は新しい信仰としての意味合いを持ち始めている。大げさに聞こえるかもしれないが、熱狂的なファンにとって「推し」は、心の支えであり、日々の生きる活力であり、救済ですらある。
「推し」の活動や言葉は、啓示であり、福音になるのである。
Da-iCEがいるから頑張れる、というのは、信仰に篤い人が神様に日々の感謝を捧げることと近似している。
どこか冷めていて、ゴルフにもプロテストにも達観しているようにさえ見える平塚が挑戦をやめない理由もそこにあった。「バカげてると思われるかもしれないけど」と前置きしたうえで、彼女はその想いを語った。
「やっぱり、どうしても諦めきれない理由は、(花村)想太くんに言いたいんですよね。プロゴルファーになったよって。
今、一番に何を糧にしてるかと言われたら、合格して想太くんにそれを伝えること。真っ先に、親と同時くらいのタイミングで報告したいくらいです」
彼女は取材中、一番の熱量でそれを話してくれた。その合格の知らせを聞けば、花村さんもきっと喜んでくれるのではないだろうか。
そして今年10月、プロテストに念願の合格
2024年10月29日から行われた、JLPGA最終プロテストで、平塚は19位タイに入り、念願の合格を果たした。合格者の中では最も下位でギリギリの通過だった。
実は2次予選も簡単ではなかった。因縁浅からぬ静ヒルズCCで、平塚は2日目を終えて72位タイと大きく出遅れた。2日間でトップとは14打差ついてしまった。
平塚本人も厳しいかなと思ったというが、3日目に「70」、4日目は「68」と伸ばし、27位タイでこのときも通過者の中で最も下の順位だった。
最終プロテストは、2022年も会場となった大洗ゴルフ倶楽部。難コースと知られ、平塚も一昨年は強風に翻弄され敗退している。
2024年は初日から安定したゴルフで、3日目が終わって合格圏内の14位タイにつけた。しかし、最終日はボギーが先行し、7番と11番では痛恨のダブルボギーがあるなど、一時は合格圏外になってしまう、かなり苦しい展開だった。