天才肌の選手が持つ感覚
一方、技術が論理的に構築されたものではないので、調子が悪くなっても、理由がわからないこともあるようだ。2023年のプロテストは二次で敗退。かつてアマチュア優勝を果たし、相性の良いはずの静ヒルズCCで、池ポチャを連発してしまったという。
「別に調子悪くなくて、何だろ。池にめっちゃ入りました。プライベートで回ったら出ないような悪いスコアがでてしまって。何でですかね、わからない。
でも、今までも本気で受かりたくて頑張ったけど、なんかその気持ちが凄く強かった気がして。それが上手くいけば良かったけど、空回ったというか。急に自分の中で、変なやる気が出てきて、意気込んじゃったかもしれない。いつも通りできなくなるというか」
実は、最初から上手くプレーすることが出来た天才的なプレーヤーが、不調になると深刻なスランプになるケースは少なくない。何も考えずにできていたことが、出来なくなると、どう対応してよいかわからなくなるのだ。
いつも通りやること、自分を変えないこと、そのことの大切さを今は本人も意識している。
どん底の平塚を救った「推し」とは
平塚が5人組のダンス&ボーカルグループ、Da-iCE(ダイス)のファンであることはよく知られていて、プロフィールにも書かれるほどだ。中でも、ボーカルの花村想太さんが「推し」だという。そのファン度合いは、熱狂的と言ってもよいもので、都合が許せば地方のライブにも遠征に行っている。
病気を発症し、顔がパンパンになる「ムーンフェース」の頃、たまたま行ったライブでDa-iCEに出会い、その歌と歌詞が「刺さった」という。自身の気持ちにも大きな変化があった。
「とりあえず、日々過ごしてたのが、そこから凄く、先の未来が楽しみになった感じがあって。最近はあまりないけど、本人に会えるイベントがあって、ゴルフしてて、プロテスト受けるんですって伝えてて。見た目が見た目なので、本当は外に出るのも嫌だったんですけど、想太くんに会えるなら出かけられました」
話を聞いていると、人をこれだけ惹きつけて、その行動までも変えてしまう花村想太さんという人物もただ者ではないと感じる。
プロテストを受けると伝えたその冬、再びイベントで会うことの出来た花村さんは、「そう言えば、テストはどうだったの?」と聞いてきたという。ダメだったと告げると、それでも「頑張ってね」と励まされた。
そんなわずかな言葉のやりとりが、彼女にとってどれだけ力になるか、想像に難くない。
最初に出会ったころとは、容姿がかなり変わっていて、見た目はほとんど別人ほど違っているはずだが、花村さんは変わらず、平塚を「ゴルフの子」と認知しているらしい。
「めっちゃ嬉しいですよね。だから、もうそれが生き甲斐みたいな。
ゴルフを辞めたからといって、Da-iCEに会えなくなるわけじゃないし、ライブにもいけるけど。
だから、本当にどうしても、きっとたぶん30歳くらいまではめげずに頑張ってるかもしれない。逆にそれがなかったら、もういいやってなってたかもしれない」