連日、テレビのワイドショーなどで報じられている斎藤元彦兵庫県知事の公職選挙法違反疑惑。ジャーナリストの須田慎一郎氏は「疑惑の根拠となっているのはPR会社の社長が書いたnoteの記事だけで、これだけで公職選挙法違反とは断罪できない。疑惑報道は事件化が前提に行われるのが長年事件記者をしてきた私の常識だが、現時点でそのメドは立っておらず、このままではオールドメディアはさらに信頼を失っていくだろう」という――。
「推定無罪の原則」はどこにいった
兵庫県知事選挙が終わるや否や、斎藤元彦知事を巡る新たな疑惑が急浮上してきた。
連日にわたってテレビや新聞で大きく取り上げられているためここで改めて指摘するまでもないと思うが、先の知事選に関連して斎藤陣営が業務を委託したPR会社に対する金銭などの支払いが、公職選挙法に違反しているのではないか、というのが疑惑の趣旨だ。
この一連の疑惑を巡って、テレビ、中でも各局ワイドショーは連日にわたってこの一件を大々的に扱い、何かに取り憑かれたように日ごとに斎藤知事に対する批判のトーンを強めているのが実情だ。
とはいうもののテレビ局各局が伝える疑惑の中身だが、公職選挙法違反や政治資金規制法違反が指摘されているが、そのどれもが具体性に欠ける内容となっている。だが、その番組内容に関して言えば、公職選挙法に違反する行為があったかのように断定的に報じるもがほとんどで、言うところの「推定無罪の原則」については、どこかに置き忘れてきてしまったかのような扱いだ。
筆者としては、この一連の動きを見ていてまさに暗澹たる気持ちになってきてしまった。テレビや新聞はまた同じ過ちを繰り返すのか、と。