国会で論戦が続く「103万円の壁」はどう決着するのか。ジャーナリストの須田慎一郎さんは「財務省と自民党は、国民民主党は123万円で手を打つと甘く見積もっていた。だがここにきて、国民民主党が本気で178万円の満額回答を目指していることが分かって焦り始めている。新聞などの大手メディアで積極財政派への批判キャンペーンが繰り広げられているのがその証拠だ」という――。
政策協議に臨む国民民主党の浜口政調会長(左から2人目)、自民党の小野寺政調会長(同4人目)、公明党の岡本政調会長(同5人目)ら=2025年2月4日午後、国会
写真提供=共同通信社
政策協議に臨む国民民主党の浜口政調会長(左から2人目)、自民党の小野寺政調会長(同4人目)、公明党の岡本政調会長(同5人目)ら=2025年2月4日午後、国会

「財政ポピュリズム」とは何か

ここ最近になって財務省の現役官僚や有力OBから頻繁に「財政ポピュリズム」というワードが頻繁に発信されるようになってきた。

特に昨年末の臨時国会あたりから、この傾向は強まってきたと言えよう。

特に国民民主党やれいわ新選組に対して財務省サイドは、「財政ポピュリズム政党」と名指しで批判を強めているのが実情だ。

彼らの言う「財政ポピュリズム」とは、ザックリ言うと「明確な財源を語らないまま大規模な所得税減税や消費税減税を主張し民意を獲得すること」を指すのだという。

果たして前述の国民民主党やれいわ新選組が掲げる政策、公約がこの定義に当てはまるかどうかについては、はなはだ疑問ではあるが、ここで重要なのは、財務省サイドが両党、あるいは両党の政策を支持する有権者に対して強い危機感を持っているという点だけは間違いない。

昨年の衆院選挙で与党が大敗し少数与党に転落したことを受けて、野党が国会運営の主導権を握ることとなった。それというのも、政府与党は野党の協力無しに一本の法案も国会で成立させることができなくなったからに他ならない。