たとえばダジャレを連発して、「どうだ、面白いだろ?」と満足そうにしている上司への対応だ。思い切って「ちょっとどうするんですか、この空気?」と切り込んで成功する場合もあるが、大方は下の立場から非難されたように感じて不愉快になるだろう。こうしたときは、まず自分が爆笑して、

「いや、それレベル高すぎてついていけないですよ」

「ちょっと! 笑ってるの、僕らだけじゃないですか!」と言ってみる。2人だけしかわからない笑いの感覚を共有したことにして、相手を気持ちよくさせるのである。また軽く笑ってから、「ダジャレ博士ですねえ」「ダジャレ教授ですねえ」とコメントするのも有効だ。冷静に考えればよくわからない褒め方なのだが、相手に嫌な印象は与えないと思う。

褒めいじりは上司以外にも使える。たとえば決められた仕事はきちっとするが、自分のことを開示せず、いじられることを極端に嫌がる後輩。上の立場から「こいつ、何考えてるかわからないから!」といじれば、これまで以上に殻を閉ざすだけである。まず大事なのは、仕事をちゃんとやってること対して理解を示すこと。そのうえで彼のキャラクターを見て、真面目な性格であったり、頑張りたいという部分を拾ってあげる。しかし、

×「同期より早く出世したいんだろ!?」

ではリアルすぎて冗談に聞こえない。だから、

「おまえ、仕事ばっかりして、会社を乗っ取ろうとしてるんじゃないの?」

ぐらいに誇張したほうがいい。

いじりは人のスキをえぐる行為であるため、地雷を踏むこともある。相手の一番気にしてるところをネタにして重い空気になってしまったら、笑いを重ねることは絶対にNGだ。1対1であれ、みんながいる場合であれ、素直に謝るしかない。

コミュニケーションの基本は相手の気持ちを理解すること。ある部下が遅刻もするし、すぐ言い訳するような、マイナスの多い人間だったとしても、友達だけは多くて人脈を持っていたら、その部分だけは認める。相手を受け入れて初めて、相手の懐にも入ることができるのである。

(構成=鈴木 工)
【関連記事】
爆笑を誘うストーリーの組み立て方
吉本芸人が指南! 編集部一の堅物クンが大変身
苦手な相手を従わせる「場の空気」のつくり方
自分が失敗をしたときのユーモアレトリック
デーブ・スペクターに学ぶ、嫌われないダジャレ