一方、リーマン・ショック、円高など製造業には依然として厳しい環境が続く国内事情の中、その煽りを受け続けた工作機械業界だったが、ようやく光が差してきたようだ。日本工作機械工業会調査企画部の山本元芳部長は語る。
「業界全体で、受注額はリーマン・ショック以前の8~9割に戻ってきました。07年は総額1兆5900億円だったものが、11年は1兆3262億円まで回復したのです」
しかし、内容は違っている。かつては内需、外需ともに5割となっていたものが、現在では内需3割、外需7割と大きく変化した。
「円高による国内製造業の海外移転や依然として高い法人税など、国内に問題が山積していることに加え、中国の躍進をはじめとしたアジア経済の活況が外需の柱となっています」(前出・山本部長)
その言葉を裏付けるかのように、森精機製作所は11年実績の年収が120万円増の703万円。オークマも3ケタの増額を記録。161万円増で612万円となった。
円高の影響をモロに受け、苦境が続いているのが造船業界だ。12年2月、日本造船工業会の定例会見で幹部が「韓国勢に大差をつけられてしまった」と、受注量激減のショックを口にした。中韓の攻勢にジリ貧の状態が続いていたのだ。現在、給与に大きく響くほどの影響は出ていないが、V字回復の道筋は見えにくく、これから2、3年は業界全体として苦しい状況が続きそうだ。
※すべて雑誌掲載当時
(ライヴ・アート=図版作成)