年収データは東京商工リサーチ。2012年6月末時点の有価証券報告書を集計。医薬品、化学、繊維製品に分類された326社から抽出した。業界トップは三菱系の総合化学持ち株会社の三菱ケミカルホールディングス1249万(平均年齢47.0歳、従業員数48人)。

景気に左右されない医薬品業界

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他業種がうらやむ好調を維持しているのが、医薬品業界だ。新薬の研究・開発に取り組む製薬メーカーが加盟する日本製薬工業協会の仲谷博明専務理事はこう説明する。

「本来、景気にあまり左右されない業界です。逆に言えば、バブルでも踊らない堅実な業界といえます」

その医薬品業界は、これまで自動車、電気に次いで担税力が3番目だったが、リーマン・ショック、ギリシャ危機など世界経済が混沌としたため、自動車・電気が不振に陥り、医薬品がトップの担税力を誇るようになった。さらに今後、期待が寄せられるのは、政府が発表した日本再生戦略。ライフ・イノベーションの中で医薬品は「日本発の革新的な医薬品の創出につながる研究開発推進」と、さらなる保護・育成による世界戦略に組み込まれている。仲谷専務理事は語る。

「国内活動を円滑にするため法人税減税の施策や、“研究開発税制”の拡充を認めてもらうよう政府に働きかけていきます」

1つの特許を得て新薬ができれば、世界で勝負できる産業形態だけに、今後の開発競争は一層熱を帯びると見られる。そんな業界各社は、2010年問題を切り抜けておおむね好調だ。業界1位の武田をはじめ、エーザイ、キョーリン、第一三共など大手各社は2桁の伸びとなっている。