夢を実現する

何かを一心に勉強すると夢や希望が叶うと思っている人が多いが、大間違いである。叶えたい夢があってその実現に向かって進んでいくと、勉強せざるをえなくなる。順番を間違えてはいけない。

私はグーグルを辞めた後、10年10月にネットを使って日本の資産をグローバルに売り込んでいく会社を立ち上げた。メンバーはいま10名で、自分にとっては第二の家族のような存在。皆いきいきと働いている。

この会社を世界的にも有名な企業にするのが夢だ。なにせスタートアップなので、何か問題が起きれば自分たちで解決するしかない。専門家の意見も大切にしている。日々頭と体でスピーディに学んでいかないと組織がつぶれてしまうという危機感がある。

最近、私が2010年に書いた本(『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』)を読んだといって、若者がよく会社に遊びに来る。先日も、「将来シリコンバレーで起業したい」という息子の友人が遊びに来た。夏休みに現地に行くというから、シリコンバレーの知り合いを何人か紹介して、グーグル本社のツアーもアレンジした。彼の現地訪問を実り豊かなものにする一助になればと思った。もちろん、そのためには彼も英語をブラッシュアップしたりグーグルについても調べたりしなければならない。

夢に向かって行動する人に対しては、「何か力になってあげたい」と思うのが人情だ。行動の暁に得られる特典をより豊かなものにするためにも、勉強が必要になる。

俳優のクリント・イーストウッドが、あるときテレビでこういっていた。「年を取るということはよりよい人間になることだ」と。そのために必要なのが日々進化し続けること、つまり、夢を叶えるために学び続けることだと思う。

※すべて雑誌掲載当時

アレックス社長 辻野晃一郎
1957年、福岡県生まれ。慶應義塾大学大学院工学研究科修了後、ソニーに入社。カリフォルニア工科大学大学院電気工学科修了。グーグル日本法人社長を経て、2010年10月にアレックスを創業。著書は『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』。
(荻野進介=構成 向井 渉=撮影)
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