大地震が発生したとき、本当に使える防災グッズとは何なのか。国内外30カ所以上の被災地で活動してきた国際災害レスキューナースの辻直美さんは、自宅用・避難所持ち出し用・外出用に分けて備えているという。今から準備しておくべきマストアイテムを聞いた――。(第3回/全3回)

家に置いてある防災バッグ、いつ使う?

「防災バッグっていつ必要になるかわかりますか? みなさんよく勘違いするのですが、地震で揺れている最中に防災バッグを持って避難所に逃げるわけではありません。揺れが収まるまで外出先や自宅で待つ。自宅が倒壊の危険があると判断し、指定の避難場所へ避難するときに、はじめて防災バッグを持ち出すんです。自宅避難できると判断したら、家の備蓄品で生活すればいいんです」

辻直美『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)
辻直美『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)

地震直後、自分がどのような状況に置かれるかわからない。自宅が倒壊して避難するかもしれないし、自宅に残って生活できるかもしれない。あらゆる状況を想定して、自宅用、避難所持ち出し用、さらに外出用の3つに分けて防災品を用意するのが、辻さんが実践する方法だ。

この3種の防災品は、実際に被災地で「命を守る」ライフセーバーとして役立った。辻さんが2018年の大阪府北部地震で被災した際も、第1回で紹介した家の防災対策と自宅用防災品のおかげで、自宅で普段と変わらない快適な暮らしを送ることができた、と辻さんは話す。

外出時の備えはバッグとポーチの2段構え

「外出先でいつ地震が起きるかわからない。どこで被災しても『これだけあれば何とかなる』を想定して、普段使いの防災バッグ(画像1)に、さらに厳選したグッズを収納した防災ポーチを入れてダブルで携行している」という。

辻さんが持ち歩いている防災バッグの中身
画像1:辻さんが持ち歩いている防災バッグの中身[出所=『プチプラ防災』林紘輝(扶桑社)]

普段から使用している「命を守る役立つ物」を入れ、近所までちょっと買い物という時も、万が一に備えて持ち歩いているそうだ。

以下、辻さんへの取材と著書『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)を基に具体的に紹介する。