「防災のプロ」は救助・医療グッズも必須

これらは災害が発生した時に救助を専門に活動する国際災害レスキューナースだからこその持ち物であり、私たち一般人が全てを持ち歩くのは難しいかもしれない。まずは、自分にとって必要だと思った物から揃えて、持ち歩くことを習慣にしてみてはいかがだろうか。

【図表2】外出用防災バッグ・ポーチの中身②

辻さんによると、避難所へ持ち出す防災バッグの中身を決めるポイントは、災害時の生活の質(QOL)を支える3大欲求の「睡眠欲」「食欲」「清潔欲」の中で、自分にとって快適な生活を送るうえで最も重要なものは何かを自問すること。そして、それに必要な物を判断することだ。

「自分にとって一番なくてはならない物は何か、人によって違います。例えば、私の場合は睡眠や食欲に対してこだわりは持っていない。どこでも眠れるし、1週間毎日同じ物を食べても飽きないけれども、お風呂に入っていない人や自分の臭いが苦手で、清潔欲求が高い。自分が一番必要とする欲求を満たすように、工夫して備えるといいんです」

「睡眠・食事・清潔」どれが一番重要か

睡眠が自分にとって最も重要ならば、睡眠しやすい環境づくりのために何が必要かを考えて、防災バッグに用意しておく。例えば、気持ちを落ち着かせてゆっくり休むのに、香りが欠かせないのであれば、アロマスプレーやアロマ精油を用意する。騒音で眠れなくなるのであれば、自分に合った耳栓を用意するという具合だ。

避難所では身体を洗うことができないので、清潔が重要という人は大勢の人の体臭でストレスになることも十分想定できる。マスクや、少しでも臭いを軽減する効果のあるアロマオイルやスプレーを用意するなど工夫が必要になる。

アロマの香りは、被災後にストレスが増大したときに、気持ちを落ち着かせる効果もある、と被災地で実践してきた辻さんは勧める。