【坂田】主体性に関しては、社風を考慮したほうがいいと思います。弊社は古い体質なので「上に言われたことを真面目にやる人が出世する」社風です。とくに若いうちは発想力よりも黙って仕事をする人が評価されます。

【近藤】意見を言わないと生き残れない外資とは大違いだね。

【坂田】主体性がありすぎてもなさすぎてもダメなのです。自己アピールが強い若手は上層部からは面白がられますが、周囲の支持が得られずに上がれない。かといって完全な指示待ちでは目立たずにチャンスが回ってこない。

【八巻】指示待ちではなくても、呑み込みが遅い人、決断力がなさすぎる人はチャンスを逃しやすいですね。私の同期で10人中唯一係長になれなかったのがこのタイプの男です。考えすぎる人は係長にすらなれません。

【坂田】結局、ほどよく気が利いて真面目でチャンスを逃がさない「真ん中の人」が出世していきます。つまり、要領がいい人ですね。

【近藤】1つ注意してほしいのは、派閥は両刃の剣だということ。あまり若いうちから特定の派閥に入ると、鉄砲玉として使われて終わってしまいかねない。いろんな派閥から声がかかるようになったら、自分は順調に出世コースを歩んでいると思っていい。でも、少なくとも30代前半までは派閥にはどっぷり入らないほうが無難だよね。

【坂田】引き上げてもらえる人の条件として、日本では「場の空気を読む」ことはやはり重要だと思います。例えば、みんなで楽しく飲んでいるときに難しいビジネス書を持ち出して、「僕はこういう本を読んでいる」と話し始める人。「おまえだけ何を気取っているんだ?」と思われますよ。そういう人は飲み会にもゴルフにも誘われなくなります。

【近藤】周囲はお構いなしで自分の話をしたがる「オレ様君」や「構って君」が多いよね。

【八巻】自分だけにスポットライトを当ててほしい人ですね。他の人が話し始めるとつまらなそうにする。

【近藤】興味がなくてもあるような顔をして聞いていればいいのにね。