若者たちから雇用の改善が進んでいる
ここまで雇用形態の切り口で労働市場の状況を振り返ってきた。最後に、年齢を切り口に分析を行ってみよう。
非正規雇用者の比率を年齢階層別にみると、その比率が最も顕著に低下しているのは若年層である(図表4)。
25~34歳の階層をみると、やはり2000年代に一貫して上昇基調にあった非正規雇用者比率は2014年に28.0%でピークをうち、そのあとは年々その比率を低下させている。直近の2023年時点では22.5%まで下がっている。
この水準を過去にさかのぼれば2003年以来の水準となり、非正規雇用問題が社会的に大きくクローズアップされた当時の段階まで低下してきていることがわかる。雇用の質は若年層から改善が進んでいるのである。
初任給もじわじわ増え、2024年は急上昇
これは賃金に関しても同様である。先述のように正規雇用者の賃金上昇は全体として鈍い状況ではあるものの、若年層はほかの年齢層に先行して上昇している様子がうかがえる。
図表5は学卒者の初任給の推移を取ったものである。
2005年に月額19.1万円だった学卒者の初任給は2010年代半ばまで20万円に満たない水準で推移していた。しかし、2013年の19.4万円を底に上昇基調に転じ、2023年には21.1万円まで上昇している。
初任給の引き上げ率をみても2024年には86.8%と急上昇している。足元では若年層に対する賃上げ競争の動きが活発化しているのである。若年層の労働時間が急速に減少していることも踏まえれば、若い労働者の待遇改善は近年大きく進んでいると評価することができる。